研究内容

タンパク質分解誘導薬(PROTAC)の創製研究

タンパク質分解誘導薬(PROTAC)は、生体内のタンパク質分解機構を利用して標的タンパク質を特異的に分解する分子であり、新たな創薬モダリティとして注目されています。PROTACは、従来の創薬分子である酵素阻害薬や受容体アンタゴニストとは異なる性質を持ちます。例えば、従来の創薬分子が標的タンパク質の特定の機能を抑制するのに対して、PROTACは分解によって標的タンパク質の存在量を減少させるため、そのすべての機能を抑制することができます。私たちは、このような特性に興味を持ち、生体内で化学反応を触媒する酵素機能と他のタンパク質と相互作用する足場機能を持つタンパク質を標的とし、創薬を志向したPROTAC研究を展開してきた。実際に、タンパク質脱アセチル化酵素HDACなどに対するPROTACを見出すとともに、従来の阻害薬に対するPROTACの優位性を示しています。

関連論文

酵素阻害速度論に基づく創薬研究

有機化学反応と同様に、阻害薬-酵素複合体の形成には、熱力学的側面と速度論的側面があります。通常の酵素阻害薬の創製では、熱力学的パラメータである阻害定数(Ki)もしくは50%阻害濃度(IC50)といった指標により化合物の活性を評価するのが一般的です。しかし、様々な因子が存在し、多様なライフイベントが起こる細胞系ならびにin vivo系では、KiもしくはIC50値を反映した薬理作用を示さないことが多々あります。一方、通常軽視されていますが、酵素阻害速度論に基づいた評価方法もあります。特に、阻害薬-酵素複合体における解離速度定数(koff)もしくは、その逆数の値となるレジデンスタイム(t : t = 1/koff)といった速度論的パラメータは、系の影響を受けにくく、細胞系やin vivo系においても阻害薬-酵素相互作用の強さを見積もりやすい値であることが報告されています。私たちは、熱力学的側面だけなく、速度論的側面にも着目して酵素阻害薬の創製研究を行うことが重要であると考え、創薬研究を行っています。

関連論文

クリックケミストリーを利用した創薬研究

クリックケミストリーは、二つ以上のフラグメントを連結させ、新たな機能性分子を合成するアプローチ法です。私たちは、このクリックケミストリーを巧みに利用して、様々な創薬候補分子の創製に成功してきました。例えば、クリックケミストリーを活用したライブラリーの構築によって、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬を見出しています。また、活性中心に金属イオン (M+) を持つ酵素上 (in situ) で、M+ がクリック反応を促進することを利用した in situ クリックケミストリーによって、動物試験において抗うつ作用を示すヒストン脱メチル化酵素阻害薬の創製に成功しています。

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酵素触媒活性に依存して薬理活性を示す化合物の創製

特有の有機化学反応を触媒します。私たちは、創薬標的となる酵素の触媒反応に着目し、触媒活性依存的に機能する様々な生体機能分子を創製してきました。例えば、LSD1 阻害薬 PCPA を LSD1 自身に効率的かつ選択的に送り届ける小分子化合物 NCD38やがん細胞選択的に薬物を放出するドラッグデリバリー型化合物(PCPA-drug conjugate: PDC) がその代表例です。

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